発達障害って、結局何なんだ?

本サイトで特別支援教育を大きなテーマの一つとして取り扱おうと思っています。なぜなら、筆者は過去に発達障害児を対象とした福祉サービスである「放課後等デイサービス」事業所で勤務経験があるからです。

非常にデリケートなテーマではありますが、できるだけわかりやすく、困っている人の力になれればと思っています。

特別支援教育(英語ではSpecial-Needs-Educationなどと呼ばれたりもする)を理解するにあたって、発達障害について整理しておきたいと思います。

「障害」って何だろう?

発達障害(Development Disorder)とは、主に発達の段階で何らかの障害があることを意味しますが、この言葉が示す範囲は非常に広く、なかなか理解が難しいです。また、時代によって指し示す内容も変わってきたし、医学上の区分も紆余曲折してきたという背景もあります。

また、「障害」というもののとらえ方も、時代、社会、個人によってさまざまに異なり、軋轢や差別、偏見を生んでしまうこともあります。

このサイトでは「障害」というものを「本人(当事者)が社会生活を送るうえで困難を生じさせるもの」という意味で用いています。人間一人ひとり発達のスピードや特性は異なります。広く考えれば個性ですね。個性があるのは人間として当たり前です。ただし、個性のどこかの部分が強すぎると、社会にいる他の人間と齟齬が生じ、困難を生じることがあります。これを障害ととらえようとする立場です。その人の素質ではなく、社会の中で実際に起きている困難にフォーカスするアプローチです。

発達障害とは何だろう?

日本における発達障害は、発達障害者支援法の中で

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの

と定義されております。若干、時代遅れのような文言が並びますが、まとめると「脳の機能障害」ということです。ご存知の通り、脳は電気信号によってさまざまな情報処理を行い、人間の思考、行動をつかさどっています。これらの処理がうまくいかない(=多くの場合は強すぎる/弱すぎる)ことで、社会生活に困難を生じている、それが発達障害なのです。

一般的な診断としては、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、広汎性発達障害(PDD)、学習障害(LD)などが挙げられます。

それぞれの診断については別にまとめたいと思いますが、一例を挙げると、自閉症スペクトラムの特徴の一つとして「強いこだわり」があります。

人間はだれしもこだわりがあります。「ラーメンはとんこつに限る!!」とかそういうことですね。これくらいのこだわりでは、社会生活上で大きな不都合はないですね(おそらく)。
しかし、例えば「いつもご飯はミッキーの茶碗で食べないとパニックになる」という自閉的なこだわりを持っていた場合、外出先で異なるお茶碗でご飯が出てきたらパニックになり、モノを投げたり壊したりしてしまうかもしれません。
もしこのこだわりが、脳の機能障害による(なぜかミッキーの茶碗に執着してしまう)であった場合、本人に悪気があるわけではありません。このようなパニックなどの社会的生活上の困難をどうやって軽減していったらよいでしょうか?このことを考えるのが支援の第一歩となるでしょう。

<参考図書>

杉山登志郎さんは当事者に寄り添った目線で本を書かれているので読んでいてとてもあたたかい気持ちになります。

発達障害の子どもたち (講談社現代新書)

「発達障害」というラベルを貼って思考停止になってしまう場面も多く見てきました。そうならずに、何に困っているかを見てあげましょう。

「発達障害」だけで子どもを見ないで その子の「不可解」を理解する (SB新書)

発達障害の診断の難しさについて書かれた本です。

(185)子どもの発達障害 誤診の危機 (ポプラ新書)

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